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人と地球に誠実な仕事 [シリーズ]

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有限会社ネパリ・バザーロ

日本の伝統技術「紙布(しふ)」とネパールの国際協力

有限会社ネパリ・バザーロ

日本の伝統技術「紙布(しふ)」とネパールの国際協力がつながった〜有限会社ネパリ・バザーロ代表 土屋春代氏

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【有限会社ネパリ・バザーロ について】

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 ネパリ・バザーロは、ネパールの貧困による社会問題を解決するために、1992年からフェアトレード事業を通じて現地の仕事づくりに取り組んでいる。活動を始めた当初は「フェアトレード」という言葉は知らず、製品が完成するまでにたくさんの作り手が関わることのできる、多くの仕事を生み出す裾野の広い仕事という観点で、服の製造・販売を始めた。現在は衣料品・食品・雑貨を販売しており、特に、年代を問わず流行に左右されない着心地の良い服は、幅広い層の消費者に支持されている。
 2006年2月に発表された「紙布」の服は、そうしたネパリ・バザーロの活動ならではの商品だと言える。「紙布」は日本の江戸時代につくられていたもので、和紙を細く切り、撚りをかけて糸にしたものを織って布にする。つくり出す糸の太さによって織りあがった布の風合いが大きく異なる。肌触りが良く丈夫で、当時木綿が貴重だった地域で武士や農民の日常着として作られていたが、技術改良によって公家や大名への献上品にもなった。現在ではその製造技術の難しさから、伝統工芸品など高級な芸術品としてわずかに生産されるだけで、おしゃれな日常着として販売されるようになるなど誰も想像もしていなかった。
 高度な手仕事だからこそ、ネパールのより多くの人たちが仕事に携わることができ、紙布にするからこそ、行き場を失っていたネパールの手漉き紙の販路を拡大でき、付加価値の高いおしゃれな日常着として販売するからこそ、裾野の広い市場に乗せることができる。日本の伝統技術とネパールの埋もれていた宝とが、ネパリ・バザーロの活動方針に則ってマッチングされ、様々な社会的意義と高いメッセージ性を含む興味深い事業モデルを生み出した。
 値段だけを見れば決して安くはないその紙布の服だが、発表から現在までに総計500着もが売れたという。代表の土屋氏より、紙布商品の魅力を中心にお話を伺った。
<写真説明>
@紙布のウィンドジャケットA土屋代表(写真右)と丑久保副代表Bロクタ〜紙〜糸〜布C本郷台の直営店「ベルダ」で販売していたロクタ紙のポチ袋

【土屋春代氏への質問】
▼紙布について

Q:紙布が商品開発されることになった経緯を教えて下さい。
A:ネパールにはロクタという植物からつくられる純度の高い手漉き紙があるのですが、販路がないために、技術を持つ後継者も減少していました。何とかそれを生かそうと、レターセットやランプシェードなど雑貨にして販売していたのですが、たくさん売れる種類の商品ではないために伸び悩んでいました。そこに出会ったのが紙布という日本の農民の知恵でした。服の型にもよりますが、1着作るのに約70枚の5g紙を使用することができます。ロクタ紙のマーケット拡大につながる新たな事業としてふさわしかったのです。
Q:繊維→糸→布ではなく、繊維→紙→糸→布にすることの長所は何ですか。
A:もともとロクタの繊維は糸になりにくいという性質があるので、紙にされてきました。紙は繊維がからまっていてより多く空気を含むため、湿気の調節機能に優れる布ができます。また、しわ加工になるように糸を紡いで特徴ある布地に仕上げているので、着るほどに自分の体に合ってきます。一度紙にすることで、繊維が持つ特性をより生かすことができると言えます。
Q:構想から販売に至るまでの5年の間に諦めようと思った時期もあったと伺いましたが、どのように乗り越えられたのでしょうか。
A:紙布づくりはとても高度な技術を必要とするため、これまでの商品開発以上に困難な壁がたくさんありました。でも生産者団体代表のウシャさんの熱意と実行力や、困った時に背中を押してくれる方との出会いを下さった日本の支援者の皆様のおかげで前に進むことができました。ウシャさんは紙布商品づくりのために独立して事業を起こし、今では彼女の持っている土地に「SHIFUハウス」を建てて、紙布商品づくりを一貫してできる工房を作ろうというワクワクする計画もしています。
Q:紙布商品の今後の展望をお聞かせください。
A:まず、糸の撚りの強弱を自在に操り、デザインごとに一定の細さで撚ることができるように技術を向上したいと考えています。それによって多様な風合いの服作りが可能となり、紙布商品のバリエーションも広がります。それから紙漉きの生産者には、紙布づくりに適した紙漉きの技術指導もして、日本の最高峰の紙布技術をネパールに伝授していくつもりです。他にはテキスタイルとしての商品の可能性も考えています。紙布の良さとフェアトレードや手仕事の価値を理解して下さるデザイナーの方に使っていただき、より付加価値の高い商品として販売することができれば、紙布のマーケットもさらに広がります。生産者の方々がより多くの賃金を得られるように努力することが私たちの役割です。紙布商品づくりに携わる生産者の数は、始まった当初は5人でしたが、現在14人にまで増えました。難しい作業なので簡単に増やすことは出来ないのですが、技術の伝達とマーケットの拡大のスピードのバランスを見ながら、少しずつ活動を広げていきたいです。

▼ネパリ・バザーロのこれまでとこれから

土屋氏:「ネパールは気候の変化に富んだ国で、まだまだ埋もれている天然繊維・植物など自然の恵みの素材がたくさんあります。彼ら自身が気付いていないその宝を発掘して、生活の糧となるようにそれを市場に循環させるお手伝いをし、彼らが『ここに生まれてよかった』というプライドを持てるように協力したいと思っています。全くの素人で始めた活動がここまでくるとは夢のような話ですが、諦めの悪いのが私の特徴です。いつも『マイナスのデザイン』で、限定された条件の中から発想して商品開発をするのですが、不思議と必要な時に必要な誰かが助けてくれます。日本のみなさまには、平和な社会が消費力でも実現できるということを、楽しみながら知っていただきたいと思っています。そのために、より多くの方々にフェアトレード商品を気に入って共感していただき、値段だけではない商品の『値打ち』について商品を通じて理解していただけるよう、商品の力で私たちが目指す社会を実現していきたいと思います。」

取材/執筆:(株)ソシオエンジン・アソシエイツ 西山 庭子



▼紙布の服およびネパリ・バザーロの商品が購入できる
  オンライン・ショップはこちら
▼紙布に関するより詳しい情報は:DVD
『紙布の布に希望を託して』新たな素材、新たな産業に取り組んで

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